『たたかえっ! 憲法9条ちゃん』レビューまとめ

 新刊『ぶっころせ! 刑法39ちゃん』の表紙画像など詳細はこちら
 

 
 実は第二版の表紙がネット上になかった(たぶん)ので、この機会に載せておきます。
 色や細部の線などが修正されています。
 
 初版刊行からちょうど一年経ちましたので、ここらで9条ちゃんのネット上でのレビューをいくつかご紹介しておこうかと思いたちました。すでに読んだ方も、これから読もう、買おうと思っている方も、これを見て「ふーんそういう小説なのか」というのを感じていただければ。



The 男爵ディーノ(架神恭介さん)――【5/8】文学フリマの宣伝(テニス全国編、憲法9条ちゃん、漫画をめくる冒険)
 帯を書いてくださった作家(最新作『完全教祖マニュアル』は稀代の名著)の架神恭介さんが書いてくださった『9条ちゃん』の紹介と解説・感想。素晴らしくって涙が出ました。

 これは本当に酷い作品だったのでオススメ! ストーリーは憲法9条にしか欲情できなくなった中学生の大和マモルが、学校でたまたま見つけた憲法9条の石版に射精したところ、憲法9条の精(白痴の美少女)が全裸で現れ、それに嫉妬した幼馴染がチェーンソーで首切り自殺を図ると、9条ちゃんはマモルの精液と幼馴染の血液を口中で混ぜ合わせ「いちごみるくぅ〜」とほざくという、これだけでも作者の頭が可哀想なことが分かる作品だと思います。

 と、序盤の的確な要約をしてくださったあとで、「アナロジー(類比)」という切り口から「作者独自のシニカルな視点から社会情勢が全般的にバカにされています」という見方を示してくださいました。
 総合的には、「全方位に向かってバカにして、全方位に対してケンカを売ってるような作品なので真面目な人が読んだら怒るんじゃないかなあ。デカダンニヒリズムな人がニヤニヤしながら読むタイプの本なので、クオリティ的には問題ないと思うけど、読者を選ぶかなー。」だそうです。
 
周回遅れな鰹レース――たたかえっ!憲法9条ちゃん 第二版
 個人的に、最も嬉しかったレビューがこれ。こちらも、あらすじの紹介が見事なので未読の方は特にぜひ。このレビューでは、『9条ちゃん』が単なる萌え擬人化ではなく、キチガイ小説であることを礼讃(?)し、「アヴァンギャルドというかロックというかアウトロー文学というか、まあアングラな感のある小説なんですが、困ったことにすげえ面白い」と捉えたあとで、

 憲法九条も、出オチでなく作品もメインテーマに関わっていき、作者が単なる思いつきでなく、深く考えて取り入れているというのがよく分かります。特に、クライマックスにおける、憲法解釈は、九条なのに何故タイトルが『たたかえっ!憲法9条ちゃん』となっているのかというところにも結びついて非常に重いです。単に戦争放棄平和憲法が戦ったら面白いんじゃね?というギャップ受けを狙ったものではないのが素晴らしい。

 と、作品の中心テーマについても踏み込んでくださっています。
 さらに、「今回改めて「憲法9条ちゃん」読んでみて気づいたことは、この小説、日本における人間とは何か?というところまで踏み込んでいた事だ。」と、中心テーマのさらに中心にある裏テーマのようなところまで見抜いてくださったのが本当に嬉しかったです。
 39条ちゃんの帯に、<「人間とは何か」を追求した、ヒューマンきちがい賛歌!>とデザイン中に思いつきで書いたのですが、ひょっとしたらこのレビューの言葉を無意識に使っていたのかも。
 
ラノベりあん  L'Anovelién――『たたかえっ!憲法9条ちゃん』読了!
 ライトノベル作家、日昌晶さんのブログです。
「中だるみしてしまう展開」というのは、第二章の学園闘争シーンなのか、第三章の「せっくすう」とか言いながら9条ちゃんが全裸で走るあたりのシーンなのか……。前者は、架神さんのような人には大好物だと思うのですが、ラノベには不必要な「中だるみ」なのかも。第三章から四章の始めにかけては、一つのネタやドタバタを執拗に描く一〜二章とは違って、ストーリーが動いていくので、そのせいかも。
 しかし全体的にはとてもよい評価を頂けました。

もう作者の良識とか倫理観が問われる設定の数々にドギモを抜かれること間違いなしです!
これでいて芝浦先生はお堅い仕事をしているのですから、もう日本は終わってますよね。
こんなキ印な設定のくせにストーリーはライトノベルのお約束を踏襲しつつ
政治的であったり、なかったりといったストーリー展開はさすがと驚嘆するしかないです!

 お堅い仕事というのは、中学の国語の先生です。しかも共学。日本終わってます。 
 
水銀television――『憲法9条ちゃん』の毒見
 こちらは、かなり初期のころにレビューしていただいたもの。
「電車の中で読めない小説」として、筒井康隆先生を引き合いにだしていただけたのが光栄の至り。そういえば39条ちゃんの帯を書いていただいた河崎実監督も、帯文で筒井先生の名前を出しておられます。中学時代から筒井先生の大ファンなので幸せです。
 それから、メタフィクションとしての読み方を提示しながら『涼宮ハルヒ』を引き合いに出されています。こういう比較のされ方は予想していなかったので、びっくりしました。

 この作品が面白いのはタイトルにもあるとおり、憲法を擬人化してひたすらナンセンスな物語にヒロインを放り込んでいるところだろう。設定段階から白痴というのもヒロインにとっては苛酷な環境であるし、そもそもヒロインという表記にも疑問符を打たなければならない、それほどぶっ飛んだ個性を発揮しているキャラクターだ。白痴だからといって裸で外を歩きまわる場面はラブコメ的要素を見出すにしてもあまりに過激である。そのほかにも主人公の母親が憲法に対して独自の見解を持っていたり、担任教師が差別語に対して独自の見解を持っていたり、笑いにつながる仕掛けが随所にある。

 
毎日が抱き枕――「たたかえっ!憲法9条ちゃん」
 こちらの方は、なんと昨年5月に初版をお買い求めになった後、第二版を5冊も(!)買ってくださったという素敵な方です。ノンポリ天皇はファンの皆さまに支えられて活動しています。
 内容を褒めていただいたあとに、「同人誌」というもうちょっと大きな視点から、考察してくださっています。

この本・・・いくら出来がよくても、まず、百パーセント、書店に並ぶことはないでしょう。逆に言えば、そのような作品こそ、同人で勝負すべきで、文学フリマでもほとんど皆無と言ってよい、「同人でしか発表できない内容の作品」です。
二次創作はさておき一次創作(つまりオリジナル)に関しては、漫画であっても小説であっても、「なぜ、同人なのか?」というのは、問われる部分です。
もちろん皆がプロを目指す必要はありません。プロはプロ、アマはアマとして。同人で楽しくやっている。それは、人それぞれのあり方です。
ただ、なぜ同人でやっているのかと問われたとき、「商業誌では書けない作品が書けるから」という答えも多く、では、実際、商業誌に載せられないような作品(レベル以外の面で)が書けているかというと、そういう例は非常に少ないです。漫画でも小説でも。

その数少ない作品の一つが、この「たたかえっ!憲法9条ちゃん」です。

 最後に知恵院を褒めて(?)くださっているのが、とても嬉しいです。



 雑誌は、映画秘宝モノマガジンに取り上げていただきました。ありがとうございました。どちらも読者の方からお聞きしました。ほかにも、何かあったら教えてくださいませ。
 ちなみに僕が木曜日に店長をやっている無銘喫茶にテレビ取材が入るたびに、こっそり画面の中に入れています。なのでテレビ東京系とNHKでは表紙が全国ネットされたはず。
 
 というわけなんで、興味を持たれた方はぜひ。
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 なお、模索舎では慢性的に売り切れです。