39条ちゃんを先に読め!

『たたかえっ!憲法9条ちゃん』のサブヒロインであった知恵院左右。前作ですでに「実はメイン」的な扱いであったのだが、『ぶっころせ!刑法39条ちゃん』では完璧にメインになっていて、ほとほと困り果てています。「これでは前作を読んで、知恵院に萌えた人しか楽しめないではないか!」と思い、読者に相談してみたところ、「大丈夫ですよ芝浦先生、前作を読んで次回作も読もうと思った人で、知恵院に萌えていない人なんていません」という心強い返事が。よし。
「シリーズものは一巻より二巻のほうが売れない」という当たり前の真理を、かつてどこかでとある漫画家が言っていたんですけれども、9条ちゃんシリーズも例外でないはずで、9条ちゃんよりも39条ちゃんのほうが売れるなどということはあり得ないのです。どうせ売れない、というか、一巻を買ってくださった人しか読まないようなものなんだったら、前作で人気のあった知恵院をとことんまで掘り下げてやりますよ!
 とはいえ、もちろん39条ちゃん単品でも充分に楽しめるような作りにはしてありますし、「9条ちゃんを読んでから39条ちゃんを読む」のと、「39条ちゃんを読んでから9条ちゃんを読む」のとで、満足度が一切変わらないような感じに、たぶんなっていると思います。
 例えば、さとうまきこさんの『ぼくらのミステリークラブ』を読んでから、『ぼくのミステリー新聞』を読み、それから『ぼくのミステリーなあいつ』を読んだ(時系列的にいえば3→1→2)僕は、そのことをまったく後悔していないどころか、おそらくこれが最高の順番だったのではないかと思っているほどです。そういう経験ってありませんか?
 39条ちゃんで先に知恵院の内面を底までさらって、その前提となった9条ちゃんをその後で読む、という楽しみ方も面白いと思うのですよ。「あー、あの知恵院にはこういう過去が」みたいな。だから、まだ9条ちゃんを読んでない方は、むしろ先に39条ちゃんのほうを読んでみてもいいのかもしれないです、なんて。
 ドラクエの、ロトシリーズの時系列も3→1→2になっていますよね。ああいうものです。
 
 なんて言ってますが、『39条ちゃん』には知恵院のことしか書かれていないというわけではございません。ちゃんとクジラとセックスしたり、クジラとセックス教団が堅実かつえげつない勧誘をしてきたり、去勢したり、クジラ共産党が台頭してきたり、いろいろ楽しいことが起きていますよ。クライマックスには最高のカタルシスをご用意します。……浄化されるのは作者だけなのかも知れませんが。ラノベのくせして内面描写が比較的多いような気もしますけども、そういう作品はたぶんけっこう多いわけであって、問題ないですよね?
 あとなんかなぜか、途中でちょっとミステリーっぽい雰囲気にもなっています。僕はあんまりミステリーを読んだことないので、「どこがだよ!」と言われるかもしれませんが、僕の中ではこれがミステリーなのです。
 
 ちなみに今回のテーマは「人間とは何か」ということをどこかで書きましたが、これは実は前作でも同じことであって、シリーズ通してのテーマなんですね。本当のテーマは、今はちょっと言えません。隠しテーマとして作品の中に忍ばせておきます……っていうか、最後まで読めばわかるようなもんなんですが。
 気の早いことにもうすでに第三作目の隠しテーマもなんとなく決まっていて、だけど三作目を書く予定が今のところありません。すべて前作と今作の評判と売れ行き次第です。お金がないんです! 一般流通させたい!
 
 いや、それにしても知恵院がかわいい。実はまだ半分くらいしか原稿が進んでなくて泣きそうなんですが、いま書いているところがもう知恵院が可哀想すぎて、早く救ってあげたくてたまらないです。自分の小説に出てくる女の子の可愛さは異常、というのは至言だなあ。
 23日には絶対に出しますので、みなさんお楽しみに!
 と思ってたら、マシントラブルでカバーが完成しないかも、という恐ろしい事態に。どうしたらいいんだろうか。そうしたらもしかしたら本当に出ません。少なくとも文庫では出ません。文庫じゃなかったら出す意味ないような気もするけど、数少ないマニアのために100部くらいは刷ろうかなー。